五月病を吹き飛ばそう
春先は、新入学、新入社、人事異動などで、多くの人々の環境が変化し、新しい生活を始める時期です。新しい生活に対して人々は、大きな期待をもって臨む反面、内心は期待と同じくらい大きな不安をも抱いているものです。その不安を解消するために、早く学校や職場、仕事に慣れて、何とかうまくやっていこうと、4月、5月とたいへんな緊張感をもって頑張り続けます。
「五月病」という言葉をよく耳にしますが、五月病とは、このような大きなストレスにさらされた新生活にようやく慣れ、ひと段落したころに陥りやすい心身の不調のことをいいます。
5月ごろから心身の不調が現れ始める五月病
人は誰しも、新しい環境に身を置いたときには心身ともに大小さまざまなストレスを感じます。そして、その新しい環境に適応するために、心理反応や身体反応、行動反応が生じ、全身全霊でさまざまな葛藤に取り組みます。その葛藤に何とか取り組んでいるうちに、やがて、いつの間にか新しい環境に適応しているものです。
ところが、新しい環境に適応しようと張り切って頑張り続けている新入生や新入社員などが1ヵ月ほど経った5月ごろになると、心身の不調が現れ始める場合があります。このころに現れる心身の不調のことを五月病といいます。五月病は、環境の変化によって起こる「心理・社会的ストレス」と、心理・社会的ストレスを受けている本人の「心身の反応」との、両者のバランスがうまくかみ合わず崩れてしまうことによって起こるといわれています。過剰なストレスが長く継続したり、ストレスを受ける個人がストレスに対して過敏な場合にこのバランスが崩れやすくなります。
実は、医学的には五月病という病名は存在しません。ですから、医療機関を受診しても五月病と診断されることはありません。あえて医学的な病名をつけるとすると「適応障害」という精神疾患が相当するといわれています。
適応障害とは、自分を取り巻く社会環境にうまく適応できずに、心や体にさまざまな症状が現れるストレス障害のことです。どの年齢においても発症する可能性はありますが、生活環境が大きく変化する時期に発症のリスクが高くなります。また、結婚、別離(死別、離婚など)、退職、転居などの人生の大きな節目となるような劇的な変化が起こったときは、適応障害だけではなくうつ病などのほかの心の病気が発症するリスクも高まります。適応障害は、ストレスを受けてからおおよそ3ヵ月以内に発症し、その原因となったストレスが解消されれば、6ヵ月以上症状が持続することはありません。
【五月病の主な症状】
精神症状
元気がでない、集中力が続かない、思考力が低下した、やる気が起こらない、何をするのも面倒、気分が落ち込む、楽しいと思えない、イライラが収まらない、自信がなくなる、誰とも話したくない、何も頭に入らない、不安や焦りがあるなど
身体症状
体がだるい、肩こり、動悸、めまい、よく眠れない、途中で目が覚める、朝起きることができない、いくら寝ても疲れがとれない、食欲がない、頭痛がする、腹痛がするなど
問題行動
遅刻、欠勤(不登校)が増える、酒やタバコの量が増える、食べすぎるなど
十分な休養と規則正しい生活を
新しい環境に慣れ、適応するためには、想像以上に相当な精神的エネルギーが必要となります。ですから、本人が気づいていないだけで、心にも体にもかなりの疲労が蓄積しているのです。
五月病対策としては、適度な休養をとる、睡眠を十分にとる、栄養バランスのとれた食事を規則正しくとる、自分に合った趣味を見つけ気分転換を図る、適度な運動をするなど、心身の疲労の回復を心がけるとよいでしょう。また、日ごろから悩みや愚痴を話せるよい相談相手をもつことも大切です。
さらに、5月の連休などをきっかけに、夜更かしや昼過ぎまで寝ているなどで生活のリズムが崩れてしまいがちな人は、規則正しい生活を取り戻すことが大切です。
心身の不調が1ヵ月以上続き、学校や会社に行けないほど気持ちの落ち込みが激しい場合は、五月病の症状が悪化している可能性もあります。自己判断で「五月病だから大丈夫」などと決めつけてしまわず、症状が長く続くようなら精神科や神経科を受診するようにしましょう。
4月は、新入生、新入社員、人事異動した人など新しい環境に飛び込む人ばかりでなく、実は、その人々にかかわる周囲の人たちにとっても新しい環境が始まるのだということも忘れてはなりません。それぞれが、それぞれの立場で、期待感や緊張感、不安感で張り詰めた状態での日々がしばらく続くのです。
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