糖尿病と感染症―歯周病を治療すると糖尿病がよくなる―
ウイルスや細菌、真菌(カビ)などが原因で生じる病気を感染症といいますが、歯周病は、口腔内に生息する500~600種類もの細菌のうちの歯周病菌という細菌に感染し、歯肉や歯槽骨などの歯周組織に慢性的に炎症を引き起こす慢性感染症のひとつです。「平成17年歯科疾患実態調査(厚生労働省)」では、15~19歳で65%、20~29歳で75%、30歳以上ではなんと80%以上の人が歯周病にかかっているという結果が出ており、歯周病は現代人が歯を失う原因の第1位となっています。
また、「平成19年国民健康栄養調査(厚生労働省)」では、成人の約5人に1人が糖尿病の可能性があるという調査結果が示されており、今後も糖尿病の患者数は増加することが予想されています。
近年、歯周病にかかっている人は糖尿病を発症しやすく、また、糖尿病にかかっている人が歯周病を治療すると血糖値が改善することから、糖尿病と歯周病は密接に関係していることがわかってきました。
血流に乗った歯周病菌がさまざまな疾患を引き起こす
歯周病が進行すると歯と歯肉の間に歯周ポケットという溝が形成されます。その溝に歯垢(プラーク)や歯石がたまり長期間ほうっておくと歯周病はさらに悪化し、歯周ポケットはしだいに深くなっていきます。悪化した歯周ポケットの歯肉の血管は炎症により傷つき出血を引き起こしますが、この傷ついた血管から、歯周病菌や歯周病菌が放出した内毒素などが血液内に自由に入り込むことができるようになります。
このようにして、血流に乗って全身に運ばれた歯周病菌や内毒素は、体中のあらゆる組織や臓器に悪い影響を与え、さまざまな疾患を引き起こすと考えられています。
歯周病は、網膜症や腎症などと並ぶ合併症のひとつ
糖尿病の人は歯周病にかかりやすく、歯周病にかかった場合にはその進行が早く治りにくいことから、歯周病は、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、大血管症などと並ぶ糖尿病の合併症のひとつとされています。
糖尿病の人が歯周病を発症しやすい理由として、次のようなことが挙げられます。
1. だ液の分泌量が減少するため口腔内が乾燥しやすくなり、だ液による自浄作用の効果が低下し、歯病菌が繁殖しやすくなる。
2. 歯肉溝滲出液の糖分濃度が上昇することなどにより、歯周病菌が増殖しやすい環境がつくられる。
3. 細菌の攻撃に対する免疫機能が低下しているため、炎症による組織破壊が進行しやすく、歯周病菌にも感染しやすくなる。
糖尿病にかかっている人は、歯周病が重症であるほど血糖コントロールは不良となり、糖尿病の状態を悪化させることが明らかになっています。
歯周病の原因は、歯の表面や歯と歯肉の間に付着している歯垢および歯石内に生息する歯周病菌です。ですから、歯周病を予防するうえで最も重要なことは、
歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどを使って、毎日ていねいにプラークコントロールを行い、歯垢および歯石をためないことです。
実は、さらにもうひとつ重要なことがあります。
それは、「間食が多い」「よくかまずに食べる」「柔らかいものを好んで食べる」「ストレスをためやすい」「歯磨きをしないで寝てしまう」「喫煙」などの歯周病を引き起こすリスクの多い生活習慣を改善することです。
これらの生活習慣の中には、糖尿病発症のリスクと共通するものがありますから、生活習慣を見直すことは、歯周病だけでなく糖尿病を予防することにもつながります。
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