それ、食べても大丈夫ですか?
現在、日本の全人口の約2人に1人が何かしらのアレルギーをもっているといわれています。
今回はその中でも「食物アレルギー」に焦点をあて、そのメカニズムと症状、診断方法などに関してみていきましょう。
食物アレルギーのタイプ
食物アレルギーとは食べ物に含まれているタンパク質に人体の免疫機能が過剰に反応することで、身体にさまざまな症状が現れることを指します。ある食物を摂取することで、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)が体内に入ると免疫機能が働き、それを排除しようとします。その際にヒスタミン(かゆみの原因となる物質)などが放出されることでアレルギーの症状が現れます。
食物アレルギーにはいくつか種類があります。
食物アレルギーが起こるメカニズム
食物アレルギーで最も多いのは、特定の食物を摂取してから2時間以内に発症する即時型症状ですが、摂取してから数時間~半日程度掛かる非即時型のものもあります。
食物抗体(アレルゲン)と症状に関して
即時型食物アレルギーの原因となる食物は年齢によって異なります。基本的に年齢が低いうちのほうがアレルギーを発症するリスクが高くなります。それぞれの年代に多いアレルゲンは以下の通りです。
これらのうち、厚生労働省は食物アレルギーを発症する症例数が多く、発症した場合に症状が重いものを特定原材料として、アレルギーの原因となる食品の名称を表示することを義務付けています。特定原材料は3年ごとに見直されていますが、現在表示義務があるのは以下の7品目です。
食物アレルギーはときにアナフィラキシーを引き起こすことがあります。アナフィラキシーとは全身の様々な臓器にアレルギー症状が現れることをいいます。全身症状により低血圧が起こり、意識が朦朧とすることがあり、このような状態をアナフィラキシーショックと呼びます。アナフィラキシー、アナフィラキシーショックともにアレルギー症状が短時間で進行し命に危険が及ぶことがあります。特定の食物を食べた後、意識が朦朧とするようなことがあったらすぐに救急車を呼ぶようにしましょう。アナフィラキシーを発症する危険性があるために、医師からアドレナリン自己注射薬を処方されている人は、「のどや胸が締め付けられる」「息がしにくい」「嘔吐を繰り返す」などの症状がみられたら注射をします。その後、救急車を呼び、医療機関を受診するようにしましょう。そばや落花生はアレルギー症状が重くなりやすくアナフィラキシーショックを引き起こしやすいので、注意が必要です。
特殊な食物アレルギーのタイプ
上述したアレルギーのタイプ以外に特殊なものがあります。
・食物依存性運動誘発アナフィラキシー
アレルギーの原因となる食品を食べた後に運動をすることで、アナフィラキシーが引き起こされることがあります。アレルギー体質や風邪、睡眠不足、疲労なども食物依存性運動誘発アナフィラキシーを誘発する原因となります。アレルギーの原因となる食物を食べてしまったら最低2時間は運動をしないようにしましょう。
口腔アレルギー症候群
生の果物や野菜を食べてしばらくすると唇や舌、口の中、のどがかゆくなったりしびれたりすることがあります。これが口腔アレルギー症候群です。果物や野菜に含まれるアレルゲンが口腔内の粘膜に触れることでアレルギー症状を引き起こします。
花粉-食物アレルギー症候群
花粉アレルギーをもっている人が特定の食物を食べたときに発症するアレルギー反応です。花粉のアレルゲンと食品中のアレルゲンの構造が似ていることで生じます。シラカバなどカバノキ科の花粉はリンゴやモモ、サクランボ、イネ科とキク科の花粉はスイカ、メロンなどを食べると、口の中の粘膜にアレルギー症状が生じます。
ラテックス-フルーツ症候群
ラテックス(ゴム)アレルギーの人は特定の果物や野菜を摂取することでアレルギー反応を引き起こしてしまうことがあります。ラテックスアレルギーの人にとってリスクが高い食品にはアボカドやクリ、バナナ、キウイなどがあります。アナフィラキシーを引き起こすこともあるため、これらは口にしないように注意します。
食物アレルギーの診断方法
特定の食物を食べた後、かゆみが出たり調子が悪くなったりしたときは何らかの食物アレルギーの可能性が考えられます。医療機関では次のような検査を行い診断します。
(1)問診と検査
まず、問診でどのような食品によるアレルギーが疑われるのか、何を食べたのか、症状や発症するまでの時間、健康状態、既往症、服薬状況などを尋ねられます。また、アレルギー疾患の家族がいないかなども確認されます。
その後、どのアレルゲンに対してアレルギー症状が現れるのか明確にするために血液検査(抗原特異的IgE抗体検査)を行います。現在では血液検査で200を超えるアレルゲンに対して、反応の有無を調べることができます。ただし、抗原特異的IgE抗体が陽性の人すべてに食物アレルギー症状が現れるわけではありません。
(2)食物経口負荷試験(しょくもつけいこうふかしけん)
アレルギーが食品を1回、もしくは何回かに分けて食べてもらい、症状が現れるかどうかを検査します。この検査の目的は、食物アレルギーの確定診断、安全に食べられる量の確認、耐性獲得しているかどうかの確認の3つです。
基本的にアレルギー症状の原因となる食物が判明したら、それを食べないようにしますが、近年では食物除去を最小限に抑えるという考え方が広まってきています。アレルギーを引き起こす原因の食品であっても、どの程度なら食べられるのか、アレルギーが出たとしてもどの程度なのか、ということを調べます。アレルギー治療に当たって必須ではありませんが、日常生活の中で少量ずつアレルギーを誘発する食品を食べることで、耐性を獲得して、口にできる食品を増やすことができます。
まとめ
食物アレルギーかもしれない、と思ったら、自己判断はせずに、まずは医療機関を受診しましょう。
食物経口負荷試験などはどこの医療機関でも行っているわけではありません。
**************
宍粟で保険の相談、見直しなら
保険クリニック宍粟山崎店へ!!
保険ワールド 阿曽でした。