乳がんの早期発見と乳がん検診

早期に発見すれば治る確率が高いという乳がん。「乳がんで悲しむ人を一人でも減らしたい」との想いから、乳がん検診の早期受診を呼びかけるために、行政、市民団体、企業などは様々な活動を行っています。
今回は、乳がん検診をテーマに、「なぜ乳がん検診が必要なのか?」という根拠について、そして、「乳がん検診はどんなことをするのか?」という内容について、詳しくお伝えします。

なぜ乳がん検診が必要なの?

■早期発見で10年生存率が約90%に上る乳がん

乳がんは早期発見できれば治療できる確率が高いので、検診で早期にがんを発見することが非常に重要といわれています。日本乳癌学会「全国乳がん患者登録調査報告第29号」のデータによると、1期までに発見できた場合、10年生存率は約90%と報告されています。

■1期までの早期でがんを発見するためには、2年に1回はがん検診を受けることが重要

1期までは乳がんは2cm以下、2期では2~5cm、3期では5cm以上になります。(※1)では、1期までにがんを見つけるためには、乳がん検診はどのくらいの頻度で受ける必要があるのでしょうか?
以下の資料は国立がん研究センターから提供いただいた乳がん細胞の増える時間を表したものです。

※提供:がん研有明病院

たったひとつのがん細胞が大きくなるまでには時間がかかります。一方で、資料から画像で発見できるサイズになってから、1.2cm以上になるまで2年かからないこともお分かりいただけるかと思います。
2cmを超えない大きさで見つけるためにも、少なくとも2年に1回は乳がん検診を受けることが大切です。

※1:ステージと乳がんの大きさは本文ではあくまで目安としてご紹介しておりますが、実際は乳がんの大きさ以外に転移の状況など様々なことを総合的に判断して診断されます。乳がんの大きさ=ステージの診断とは限りません。

乳がん検診ってどんなことをするの?

乳がん検診には、視触診やマンモグラフィ、超音波(エコー)を用いた検診があります。それぞれの特徴をご紹介します。

■視触診

医師が左右の乳房をまんべんなく触れて、しこりの有無や乳房、乳頭の形の異常、乳頭からの分泌物を直接目視で確認する検査です。

特徴:乳房や乳頭の形の異常や、乳頭からの分泌物を直接目で確認できる。
注意点:医師の技量にかなり左右される。

■マンモグラフィ

乳腺専用のX線装置を用いた、レントゲン検査です。
乳房を片側ずつ、上下、左右から圧迫して、薄く平らにして撮影します。

特徴:・ミリ単位の病変、視触診や超音波では分からない石灰化を発見できる。
・40歳以上の方には2年に1度、検診として推奨される。
注意点:・若い人の密な乳腺の中のしこりは見つけにくい。
・診断する医師には知識と高い読影能力が必要。
・検査に痛みを伴う場合がある。

■超音波(エコー)

人間ドッグなどで腹部を検査する時と同様に、診察台の上に仰向けになり、器具を乳房にあて、内部を観察する検査です。

特徴:・マンモグラフィでは分かりにくい、若い人の密な乳腺の中のしこりを特定できる。
・放射線による被曝や痛みがない。
注意点:・検査をする医師・技師の技量に左右される場合がある。

乳がんは定期的な検診の受診に加えて、自ら乳房に触れてしこりの有無を確かめること(自己検診・セルフチェック)の習慣が、早期発見につながります。
マンモグラフィまたは超音波(エコー)の設備があり乳がんの専門的な診療をしている診療所・病院の医療機関情報は、Mefics の専門医療情報で検索ができます。病名『乳がん』で検索してみてください。
検診についての疑問や不安などがある場合については、ぜひ電話健康相談をご利用ください。

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